前立腺肥大症
前立腺肥大症とは?
尿道が圧迫されて様々な症状が起こります
前立腺とは男性だけにある臓器で、膀胱の出口(頸部)のすぐ下と直腸に挟まれた場所にあります。
正常な方の前立腺は20グラム程度の重さ、クルミくらいの大きさですが、これが何らかの原因で大きくなり、尿道を圧迫して様々な排尿症状が起こることを「前立腺肥大症」と言います。
はっきりとした原因はわかっていませんが、男性ホルモンの働きが関与しているのではないかと考えられています。
前立腺肥大症の発症リスクは年齢を重ねるごとに高くなり、50歳以降から増加傾向にあります。
ただし、発症した方すべてに治療が必要というわけではなく、なかには治療を必要としないケースもあります。
前立腺肥大症の主な症状
- 尿が出にくい(排尿困難)
- 尿の勢いが弱い
- 尿が出始めるまで時間がかかる
- 排尿の途中で途切れる
- 力まないと尿が出ない
- 1日に何度もトイレに行きたくなる(頻尿)
- 夜中、トイレに行きたくなっても何度も目が覚める
- 急にトイレに行きたくなって、間に合わないことがある
- 排尿後、すっきりしない(残尿感)
- 尿が残っているような感じがする
- 排尿後、尿が垂れて下着が汚れる
など
このような症状でお困りでしたら、京都市下京区のくぼた泌尿器科クリニックまでお気軽にご相談ください。
「トイレの回数」がきっかけで異変に気づく方が多いです
夜中、何度もトイレに行きたくなりませんか?
前立腺肥大症の症状として、「尿が出にくい」などの排尿困難が主に紹介されていますが、こうした症状で異変に気づいて受診される方は少ないと感じています。
排尿は毎日のことですから、1週間前、1ヶ月前の排尿状態を覚えている方はあまりいません。
それよりも、「何度もトイレに行きたくなる」「夜中、トイレに行きたくなって何度も目が覚める」といった症状で異変に気づいて受診される方が多いです。
特にご高齢の方は「夜中のトイレの回数」で異変に気づきます
夜、目が覚めたばかりの時は筋肉がまだ目覚めておらず、膀胱を締める力が弱いので尿が出にくい状態にあります。
そのため膀胱に尿が残り、20~30分したらまた尿意を感じてトイレに行きたくなります。
こうして「夜中のトイレの回数」が増えることがきっかけで「おかしい」と思うようになり、そこから「尿が出にくい」という異変に気づくことが多いです。
特にご高齢の方は、このようなきっかけで当クリニックへお越しになるケースが多いと感じています。
異変に気づいたらお早めにご相談ください
前立腺肥大症でご注意いただきたいのは、「前立腺がんでも同じような症状が現れる」という点です。
つまり、インターネットなどで症状をお調べになり、ご自身で「これは前立腺肥大症だろう」と思っていても、検査の結果、実は前立腺がんだったということも起こり得るのです。
なので、少しでも異変に気づいたら自己判断せずにお早めにご相談ください。
前立腺肥大症の検査・治療
各種検査で病状を確認します
前立腺肥大症の病状を正確に診断するためには、現れている症状を確認するだけでは不十分です。
診断のために、各種検査を行います。
尿流量検査
尿の出始めから終わりまでの尿の勢いを測定する検査です。
排尿状態や残尿量などがチェックできます。
当クリニックでは「尿流量測定装置」を導入していて、検査環境が普段のトイレに近いので自然な排尿状態の測定が期待できます。
内視鏡検査
内視鏡を使って前立腺や尿道の状態を観察する検査です。
これにより前立腺が尿道をどのように圧迫しているかなどがわかり、その後の治療方針の決定に役立ちます。
段階的に治療を進めていきます
前立腺肥大症の多くは、お薬を使った治療で改善させることが可能です。
「α1ブロッカー」などの尿道の緊張を解くお薬を使って経過を診ます。
また、前立腺の肥大を抑えるためにホルモン療法を行うこともあります。
前立腺肥大症の原因ははっきりわかっていませんが、男性ホルモンの働きが関与しているのではないかと考えられていることから、男性ホルモンが前立腺に作用するのを妨げることで症状の改善をはかります。
従来は黄体ホルモン(女性ホルモン)を使って男性ホルモンをブロックしていましたが、今では男性ホルモンの活性化を抑えるお薬がありますので、これを使用します。
これらの治療を行っても排尿困難などの症状がある場合には、手術を検討します。
このように段階的に治療を進めていきますので、「最初から手術」というわけではありません。
症状・ご希望などに応じて手術方法を選択
検査結果などをもとに治療方針を決定して、「経尿道的前立腺蒸散術(LAP)」「経尿道的前立腺切除術(TUR-P)」「切らずに行うレーザー治療(ELVC)」などの手術を日帰りで行います。
このうち、ELVC(Enhanced Laser Vaporization&Coagulation)は当クリニックが独自に開発した半導体レーザーを使用して前立腺組織を蒸散する方法です。